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火の鳥を読んでみた

漫画版火の鳥読みました。

言わずと知れた手塚治虫の代表作品です。

上質なSFを求めてたどり着きました。

 

この作品、私が生まれる前に描かれた作品ですが、

現代の作品にも劣らない数々の素晴らしい点があるので、

まとめておこうと思います。

 

素晴らしいと感じた点は以下3点です。

①全12章のストーリー

②ストーリー設定

③話の流れがわかりやすい

それぞれ取り上げていきます。

 

 

①全12章のストーリー

この作品はKindleで全16巻になりますが、

12章構成となっており、それぞれ時代が異なります。

 

1章が過去、2章が未来、3章が過去、といったように

過去未来が交互に変わっていきます。

 

さらに2章の過去は1章よりも少し現代寄り、

といったように、章が進むにつれて現代に近づいていき、

最後は未来と過去が混じり合う構成になっています。

 

それぞれの章は長くて3巻分、短くて50ページ以内で

近代の長編漫画と異なり、手軽に読める作品となっています。

 

話が短かったら内容も薄いんじゃないの?

と思うかもしれませんが、安心してください。

それぞれの章で重い重いテーマが設定されており、

読むととてもお腹が一杯になるんですよね。

 

人生一度は、生きる意味とか愛とか考えると思います。

そんな葛藤の大部分は火の鳥に書いてあります。

色々思うところはあると思いますよ。

 

余談

手軽に読めると書きましたが、

1章はやや敷居が高く、離脱しがちな気がします。

 

過去の邪馬台国の話で、SF感が薄いというのが大きな要因です。

SF感を求めるならば、第2章から読むのがおすすめです。

 

人類が滅亡してなめくじが知能持ったりするので

面白いと思いますよ。邪道ですけどね。

 

 

②ストーリー設定

火の鳥は作品を通じて人間の生き様を描き、

各12章にはそれぞれテーマが設定されています。

 

各章のテーマは命の価値や戦争といったテーマを扱いっています。

それだけだと普通の話になってしまいがちですが、

火の鳥という超常的な要素が加わることで物語が引き立っています。

 

例えば、8章望郷編は繁栄と衰退がテーマだと思います。

ストーリーをざっくりと書きます。ネタバレあり。

 

とある惑星に夫婦が移住してくるが、

実は騙されていて、そこは地震が多発する人が住めない惑星でした。

なんだかんだで地震で旦那さんが死んでしまい、

奥さんはお腹の子供と生きていくことを決意します。

 

ただし、大人と子供では一代で終わってしまうので、

奥さんは赤ちゃんを出産後、子育てをロボットに任せて

コールドスリープし、大人になった自分の子供と結婚をします。

この辺り手塚治虫の狂気を感じますね。

 

幸せな日常系漫画だったら一族が繁栄してめでたしめでたしですが、

火の鳥は違います。なぜか男しか生まれないんです。

奥さんは何度もコールドスリープして子供を産みますが、

なぜか男しか生まれません。

ここで火の鳥が登場、健気な奥さんに同情して、

異星人の女性をその惑星に転送し、種の繁栄を手助けします。

その後、一族は繁栄しますが、色々あって衰退します。

 

各章のテーマは人それぞれ感じ方が違うと思うので

是非手にとって考えてみてくださいね。

 

 

③話の流れがわかりやすい

最後に、火の鳥の物語が短くても充実しているのは

話に無駄な部分がないからだと思うんですよね。

 

テーマはこれ、このテーマにするならラストはこう、

ラストをこうするなら、途中でこんなエピソード、、、

というように話の流れに無駄がないように組み立てられています。

多くの物語で取り入れられていると思いますが、

手塚治虫は徹底しているように感じます。

そこを徹底できるのが神さまと呼ばれる所以かもしれませんね。

 

例えば、上に書いた8章でいえば、

こんな流れでお話を組み立てたのかな、と思います。

 

繁栄と衰退がテーマならラストは衰退しないといけない

衰退させるなら惑星外から争いの種を持ってくるのがわかりやすい

争いの種を持ち込むなら、主人公が外部とコンタクトするのが自然

主人公が故郷の地球に行きたくなっちゃえばその機会が作れる

地球に行くためには宇宙船がないといけない

宇宙船作れないから隕石で飛んでいくことにしよう

隕石は宇宙人の超能力で動かそう

宇宙人は火の鳥に連れてきてもらおう

女の子が生まれない設定にして火の鳥に宇宙人連れてこさせよう

 

拙い文章でしたが、このような具合に、

物事の動機付けがしっかりしていることで

物語に説得力が生まれると思うんです。

 

 

まとめます。

12章に小分けにしていることを

最大限にメリットにしている作品だと思います。

それぞれの章でテーマを設定することでメリハリがつきますし、

話の無駄を排除する作風は長いストーリーよりも

短いストーリーの方がビシッとしまって生きると思います。

長いとそれだけで冗長感あふれますからね。

 

面白いお話が読みたい人は是非読んでみてください。

 

Netflixの値上げと行動経済学について

Netflixが値上げしましたね。

 

https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1139133.html

 

私はもともと1500円のプランに入っていましたが、

1800円になってしまったので、一つ下の1200円のプランに変更しました。

今のところ違いはわからないので下げて正解だと思っています。

オリジナル作品を作りすぎてお金足りてないんですかね、、、

私のような人が現れて結果的に収益落ちたら面白いですね。

 

さて、近頃『予想通りに不合理』という本を読んでいます。

この本は行動経済学の本でして、人間は時に不合理な選択をすることを

数々の実験結果を元に解説しています。

 

前半に書かれている実験結果を2つ紹介しましょう。

ネーミングは私がテキトーに決めているのであしからず。

①選択誘導の法則

以下3つの商品があった時、

新聞(電子版のみ)     3000円

新聞(紙版のみ)        6000円

新聞(電子版+紙版) 6000円

実験の結果、3番目の商品を選ぶ割合が高くなります。

なんとなく3番目が一番おトクに感じるのではないでしょうか。

 

これが以下2つの商品に絞ると結果は一変、

新聞(電子版のみ)     3000円

新聞(電子版+紙版) 6000円

1番目の商品を選ぶ割合が高くなります。

金額は同じなのに!不思議!でもなんとなくわかりますよね。

 

②タダの法則

500円と1500円、2種類のチョコレートを売っていて

チョコレートは値段相応、そしてどれか一つを購入できるとして、

同じ金額だけ割引した場合にどちらのチョコレートが売れるか考えてみましょう。

それぞれ200円割引した場合

チョコレートA   300円

チョコレートB 1300円

さてどちらを買うでしょう。どちらとも言えないと思います。

 

それでは500円割引した場合どうなるでしょうか。

チョコレートA       0円

チョコレートB 1000円

実験ではチョコレートAを選ぶ割合がとても高くなりました。

皆さんもチョコレートAを選ぶのではないでしょうか。

同じ値引きでもなぜこんなに印象が違うんでしょう!不思議!

 

 

というように、人は無意識で選択しているようで

実は何かしら裏で考えられて誘導されている可能性があります。

何かしら購入者に選択の機会が与えられているとき、

一度立ち止まってその意味を考えてみてはいかがでしょうか。

 

私が1200円のプランに変更したことが仕組まれたことならば

それもまた面白い話ですね。